白紙法ができない理由|勉強が苦手な子の始め方
白紙法がいいと聞いて、子どもにやらせてみた。
でも、全然書けない。
白紙を前にして手が止まる。
「何を書けばいいん?」と言う。
結局、教科書を見ながら写して終わる。
こういうことはよくあります。
このとき、大人はつい、
- やる気がない
- 集中力がない
- 覚える気がない
- ちゃんと読んでいない
と思ってしまうかもしれません。
でも、白紙法ができない理由は、やる気だけではありません。
むしろ多くの場合、原因はもっと手前にあります。
白紙法の始め方が大きすぎるのです。
白紙法は、教科書やワークを見たあとに、何も見ずに覚えていることを書き出す勉強法です。
ただし、いきなり完全な白紙を渡して、
- 大事なところを書きなさい
- 覚えていることをまとめなさい
- 自分で確認しなさい
と言っても、勉強が苦手な子にはかなり難しいです。
なぜなら、その中にはたくさんの判断が含まれているからです。
- どこを見るのか
- 何分見るのか
- 何を書くのか
- どこまで書けばいいのか
- 書けなかったあと、何を直すのか
- 次にもう一度やるべきなのか
これらを全部自分で決めないといけません。
勉強が得意な子は、ある程度できます。
でも、小学生・中学生の多くは、まだそこまで自分で勉強を設計できません。
だから、白紙法ができない子に必要なのは、根性論ではありません。
必要なのは、白紙法をもっと小さく分けることです。
白紙法ができない理由1:何を書けばいいか決まっていない
白紙法で一番多い失敗は、何を書けばいいか決まっていないことです。
「覚えていることを書きなさい」と言われても、子どもは困ります。
理科なら、語句を書くのか。
図を書くのか。
説明を書くのか。
公式を書くのか。
実験の手順を書くのか。
社会なら、人物を書くのか。
年号を書くのか。
出来事を書くのか。
原因と結果を書くのか。
地図を書くのか。
英語なら、単語を書くのか。
文法の形を書くのか。
例文を書くのか。
本文の内容を書くのか。
ここが決まっていないと、白紙を前にして手が止まります。
これは、能力の問題というより、指示が抽象的すぎる問題です。
白紙法を始めるときは、最初に「何を書くか」を決める必要があります。
たとえば、
- 太字語句を5個書く
- 図の名前を3つ書く
- 公式を1つ書く
- 例題の1行目だけ書く
- 文法の形だけ書く
このくらいで十分です。
最初から全部を書かせる必要はありません。
「覚えていることを全部書く」ではなく、「今回はこれを書く」と決める。
これだけで、白紙法はかなり始めやすくなります。
白紙法ができない理由2:範囲が広すぎる
次に多い失敗は、範囲が広すぎることです。
教科書を1ページ読んで、白紙にまとめる。
一見、普通に見えます。
でも、勉強が苦手な子にとっては、教科書1ページでも広すぎることがあります。
1ページの中には、見出し、本文、図、表、例、注、太字、説明文など、たくさんの情報があります。
その中から何を覚えるべきかを選ぶだけでも難しいです。
だから、最初はもっと狭くします。
- 教科書1ページではなく、半ページ
- 半ページでも難しければ、見出し1つ
- 見出し1つでも難しければ、太字語句3つ
- 理科なら図1つ
- 数学なら例題1問
- 英語なら文法ルール1つ
このくらいまで小さくして構いません。
白紙法は、範囲を広げることが目的ではありません。
見ずに思い出せるかを確認することが目的です。
だから、狭い範囲でも、見ずに書けるなら意味があります。
むしろ最初は、狭い範囲で成功体験を作る方が大事です。
白紙法ができない理由3:時間が決まっていない
白紙法が続かない子は、時間の使い方も決まっていないことが多いです。
「教科書を見て覚えなさい」
「覚えたら白紙に書きなさい」
この指示だと、いつまで見ればいいのかが分かりません。
勉強が苦手な子ほど、ここで止まります。
- ずっと教科書を見てしまう
- 覚えた気になっているだけで終わる
- 白紙に書く前に疲れる
- 逆に、ほとんど見ずに書こうとして何も出てこない
こうなりやすいです。
だから、時間を決めます。
3分見る。
2分書く。
1分確認する。
これで十分です。
大事なのは、時間を短く区切ることです。
「覚えるまで見る」ではなく、「3分だけ見る」。
「全部書けるまで書く」ではなく、「2分だけ書く」。
「なんとなく見直す」ではなく、「1分だけ確認する」。
こうすると、子どもが迷う時間が減ります。
白紙法は、気合いで長くやるより、短く区切って回数を増やす方が始めやすいです。
白紙法ができない理由4:「書けない=失敗」だと思っている
白紙法では、書けないところが必ず出てきます。
でも、多くの子はここで嫌になります。
- 全然書けなかった
- 自分は覚えていない
- やっぱり無理
- 白紙法は向いていない
こう思ってしまいます。
でも、本当は逆です。
書けなかったところが見つかった時点で、白紙法は成功です。
なぜなら、そこがまだ覚えていない場所だからです。
危ないのは、書けないことではありません。
危ないのは、書けないことに気づかないままテストに行くことです。
- 教科書を見ていると分かる
- 解説を読むと分かる
- 答えを見ると分かる
- でも、テストでは出てこない
これは、「覚えたつもり」の状態です。
白紙法は、この覚えたつもりを早めに見つけるための方法です。
だから、書けないことを責める必要はありません。
白紙法で大事なのは、
- 書けたところを見る
- 書けなかったところを見つける
- 抜けたところを赤で足す
- もう一度、短くやり直す
この流れです。
白紙法ができない理由5:チェックの仕方が分からない
白紙法は、書いたあとが大事です。
でも、勉強が苦手な子は、書いたあとに何を見ればいいのか分かりません。
- なんとなく教科書と見比べる
- 赤で全部書き足す
- 間違っているかどうかだけ見る
- 結局、写して終わる
こうなりがちです。
チェックで見るべきことは、最初から絞った方がいいです。
理科の場合
- 語句が抜けていないか
- 図の名前が書けているか
- 矢印の向きが合っているか
- 公式の単位が抜けていないか
社会の場合
- 人物名が書けているか
- 出来事が書けているか
- 原因と結果が逆になっていないか
- 時代や順番がずれていないか
英語の場合
- 文法の形が書けているか
- 語順が合っているか
- 意味が言えるか
- 例文を1つ作れるか
数学の場合
- 1行目が書けているか
- 使う公式が分かっているか
- 途中式の流れが合っているか
- 最後の答えの形まで書けているか
このように、チェックする項目を決めます。
「全部見直しなさい」は、かなり難しい指示です。
「今日は太字語句が抜けていないかだけ見る」
「今日は公式と単位だけ見る」
このくらいで十分です。
白紙法ができない理由6:完全な白紙から始めている
白紙法という名前なので、最初から完全な白紙に書くものだと思われがちです。
でも、勉強が苦手な子にとって、完全な白紙はかなり難しいです。
- 何を書けばいいか分からない
- どこから始めればいいか分からない
- どう並べればいいか分からない
- そもそも一行目が出てこない
こうなることがあります。
その場合は、完全な白紙から始めなくて構いません。
最初は、見出しだけある紙でもいいです。
社会なら
- 人物:
- 出来事:
- 原因:
- 結果:
理科なら
- 語句:
- 図:
- 公式:
- 単位:
英語なら
- 文法の形:
- 意味:
- 例文:
数学なら
- 使う公式:
- 1行目:
- 途中式:
- 答え:
こういう形で、書く場所を用意しておきます。
これは、白紙法ではないように見えるかもしれません。
でも、最初はこれでいいです。
目的は、完全な白紙に自由に書くことではありません。
目的は、見ずに思い出すことです。
そのために、最初は補助線があって構いません。
白紙法ができない子の始め方
白紙法ができない子は、次の順番で始めるのがおすすめです。
レベル0:お手本を見る
まずは、お手本を見ます。
教科書でも、塾で作ったまとめでも、マインドマップでも構いません。
この段階では、まだ白紙に書かせなくていいです。
まずは、「何を覚えるのか」を見せます。
レベル1:お手本を見ながら写す
次に、お手本を見ながら写します。
ただし、ただ写すだけで終わらせません。
写しながら、
- ここは語句
- ここは原因
- ここは結果
- ここは公式
- ここは図の名前
というように、何を書いているのかを確認します。
レベル2:見出しだけ残して書く
次に、完全な白紙ではなく、見出しだけ残します。
たとえば、
- 原因:
- 出来事:
- 結果:
のように、枠だけある状態です。
中身は見ずに書きます。
これなら、完全な白紙よりも始めやすいです。
レベル3:語句だけ見て、説明を書く
次は、語句だけを見て、説明を書きます。
たとえば「光合成」という語句だけを見て、
- 植物が光を使ってデンプンをつくる
- 葉緑体で行われる
- 二酸化炭素と水を使う
のように、思い出せる範囲で書きます。
最初から完璧な文章でなくても構いません。
レベル4:完全な白紙に書く
最後に、完全な白紙に書きます。
ここまで来て初めて、自由に書く白紙法に近づきます。
つまり、白紙法ができない子に必要なのは、
いきなり完全な白紙にすることではなく、補助を少しずつ外していくことです。
教科別:白紙法ができないときの始め方
英語ができない場合
英語で白紙法ができない子は、いきなり英文を書こうとしなくていいです。
まずは、文法の形だけで十分です。
たとえば不定詞なら、
- to+動詞の原形
- 〜すること
- 〜するために
- 〜するための
このように、形と意味を書きます。
次に、短い例文を1つ書きます。
I want to play soccer.
私はサッカーをしたい。
このくらいで十分です。
最初から長文全体を白紙にまとめようとすると、ほとんどの子は止まります。
英語の白紙法は、まず文法の形と例文から始めます。
社会ができない場合
社会で白紙法ができない子は、語句を並べるところから始めます。
いきなり歴史の流れを説明する必要はありません。
まずは、
- 人物
- 出来事
- 場所
- 時代
- 結果
のように、項目を分けます。
たとえば、
- 人物:織田信長
- 出来事:桶狭間の戦い
- 相手:今川義元
- 結果:信長が勢力を広げるきっかけになった
このくらいで十分です。
慣れてきたら、矢印でつなぎます。
人物 → 出来事 → 結果
この形にすると、ただの丸暗記よりも流れが見えやすくなります。
理科ができない場合
理科で白紙法ができない子は、語句だけでなく、図とセットにします。
理科は、言葉だけ覚えても点につながりにくいことがあります。
たとえば植物なら、
- 葉
- 茎
- 根
- 葉緑体
- 光合成
- 蒸散
のような語句だけでなく、図のどこを指しているのかが大事です。
ただし、いきなり仕組みを長く説明しようとしなくていいです。
最初は、
- 語句を書く
- 図に名前を書く
- 矢印を1本書く
- 公式と単位を書く
このくらいからで十分です。
数学ができない場合
数学で白紙法ができない子は、公式暗記だけではなく、解き方の流れを再現します。
ただし、いきなり問題を解き直す必要はありません。
まずは解説を見て、
- 1行目に何を書くか
- どの公式を使うか
- どこで代入するか
- 最後に何を答えるか
を確認します。
そのあと、解説を閉じて、同じ流れを白紙に書きます。
数学の場合、白紙法は「答えを覚える」ためではありません。
解き方の出だしを思い出すために使います。
特に数学が苦手な子は、問題文を見たときに一行目が出てきません。
だから、まずは「一行目を再現する」練習からで十分です。
家でやるなら、タイムキーパーが必要
白紙法を家でやる場合、タイマーを使うのがおすすめです。
理由は、子どもが自分で時間を管理するのは難しいからです。
勉強が得意な子なら、
- そろそろ閉じよう
- そろそろ書こう
- そろそろ確認しよう
と判断できます。
でも、多くの小中学生はそこまで自分で切り替えられません。
だから、最初は外から時間を区切ります。
3分見る。
2分書く。
1分確認する。
この流れを、タイマーで区切ります。
大人が横にいるなら、
- あと30秒
- いったん閉じよう
- 今から書く
- ここから見直し
と声をかけてもいいです。
白紙法ができない子に必要なのは、長い説明ではありません。
次に何をするかが分かる短い合図です。
白紙法が向いていないのではなく、段階が合っていない
白紙法ができない子を見ると、
「この子には向いていないのかな」
と思うかもしれません。
でも、すぐにそう考える必要はありません。
多くの場合、向き不向きではなく、段階が合っていないだけです。
- 完全な白紙が難しいなら、見出しを残す
- 1ページが難しいなら、半ページにする
- 半ページが難しいなら、太字3つにする
- 文章が難しいなら、語句だけにする
- 語句だけでも難しいなら、お手本を復元する
このように、入口を小さくすれば始められることがあります。
白紙法は、勉強が得意な子だけの方法ではありません。
ただし、勉強が苦手な子には、白紙法そのものを小さく分解する必要があります。
まとめ:白紙法ができない原因は、やる気ではなく設計かもしれない
白紙法ができない理由は、やる気がないからとは限りません。
- 何を書けばいいか分からない
- 範囲が広すぎる
- 時間が決まっていない
- チェックの仕方が分からない
- 完全な白紙から始めている
- 書けないことを失敗だと思っている
こうした理由で、手が止まっていることがあります。
だから、白紙法を始めるときは、もっと小さくて構いません。
3分見る。
2分書く。
1分確認する。
- 太字語句を3つだけ書く
- 図の名前だけ書く
- 公式と単位だけ書く
- 例題の1行目だけ書く
これで十分です。
白紙法は、きれいにまとめる勉強ではありません。
見ずに思い出せるかを確認する勉強です。
そして、勉強が苦手な子には、最初から自分で全部を決めさせるのではなく、時間・範囲・書く内容を小さく決めてあげることが大切です。
勉強のやり方で止まっている方へ
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