古典文法の助動詞「る・らる」には、
- 受身
- 尊敬
- 自発
- 可能
の4つの意味があります。
意味を丸暗記しても、実際の問題ではどれを選ぶかで迷います。判別では、主語は誰か・その動作を自分でしているのか・心情動詞か・打消を伴うかを見ると整理しやすくなります。
まず接続を確認する
「る・らる」は未然形に接続します。
基本的には、四段・ナ変・ラ変の未然形には「る」、それ以外には「らる」が接続します。
たとえば「思はる」なら、動詞「思ふ」の未然形「思は」に「る」が付いています。
意味判別の前に、まず助動詞として正しく切れるか確認してください。
受身|主語が「される側」
受身は「〜れる・〜られる」と訳します。
判別のポイントは、主語が動作の主体ではなく、他者から何かをされる側になっていることです。
たとえば、
- 人に笑はる。
なら、「人に笑われる」と考えられます。「人に」のように動作主が示されていると受身を疑いやすくなります。
ただし「に」があれば必ず受身、という機械的判定ではなく、主語と動作の関係を見ることが大切です。
尊敬|主語が高い身分の人物
尊敬は「〜なさる」「お〜になる」などと訳します。
主語が帝・上皇・高貴な人物などで、その人物自身が動作をしているなら尊敬が有力です。
- 帝、御覧ぜらる。
のように、主語が高位者で「御覧になる」と読む場面です。
受身と違い、主語は動作を受ける側ではなく、自分でその動作をしています。
自発|心の動きが自然に起こる
自発は「自然と〜される」「思わず〜してしまう」のような意味です。
特に、
- 思ふ
- 偲ぶ
- 泣く
- 驚く
など、心情・知覚に関わる動詞と一緒に出ると自発を考えやすくなります。
「意識してそうしようとした」のではなく、自然に心が動いたという文脈です。
可能|「〜できる」
可能は「〜できる」と訳します。
古文では可能の「る・らる」が、打消と一緒に出て「〜できない」の形になることがよくあります。
- え忘れられず。
なら「どうしても忘れることができない」のように可能を考えます。
「え〜ず」のような不可能表現と組み合わされていれば、可能の判定材料になります。
迷ったときの優先順位
次の順で見ると処理しやすくなります。
- 主語が高位者で自分で動作している → 尊敬を検討
- 他者から動作を受けている → 受身を検討
- 心情・知覚が自然に起こる → 自発を検討
- 「え〜ず」など不可能の文脈 → 可能を検討
- 最後は前後の文脈で訳が自然か確認
一つの手掛かりだけで決めず、複数の条件を重ねるのが安全です。
助動詞の接続から判別する考え方は古文の「ぬ」は打消?完了?でも使っています。ほかの多義的な助動詞は「なり」の断定と伝聞・推定も参考になります。
受身と尊敬が迷うときは主語の役割を確認
「らる」が高位者に関係する文でも、必ず尊敬とは限りません。高位者が別の人物から何かをされる側になっていれば、受身になる可能性があります。
たとえば主語が帝だからといって、条件反射で尊敬にするのではなく、その帝が動作を実行しているのか、動作を受けているのかを確認します。反対に、主語が高位者で自分から「見る・言う・行く」などの動作をしているなら尊敬が有力です。
自発と可能も同様で、心情動詞なら自発を第一候補にしつつ、「え〜ず」など能力・実現可能性を問題にする表現があれば可能へ切り替えます。人物の身分だけでなく、主語と動詞の意味関係を二段階で見ることが重要です。
確認問題
次の「る・らる」の意味を考えてください。
- 人々に笑はる。
- 帝、御文を読ませらる。
- 昔のことぞ思ひ出でらるる。
- え眠られず。
基本的な答えは、
- 受身
- 尊敬
- 自発
- 可能
です。
まとめ
「る・らる」の4つの意味は、訳語を覚えるだけでは判別できません。
- される側 → 受身
- 高位者が自分で動作 → 尊敬
- 心情が自然に起こる → 自発
- できる・できない → 可能
という役割を見てください。
古典文法では、助動詞単体より主語と動詞の関係を見ることで判別精度が上がります。
この記事は文部科学省、国立国語研究所、公立高校の公開古典文法資料を参照し、例文・問題は独自に作成しています。