助動詞「む」は、学校文法で複数の意味を持つ代表的な助動詞です。
- 推量
- 意志
- 適当・勧誘
- 仮定・婉曲
などに分類されます。
全部を同じ強さで覚えるより、主語の人称と「む」が文末か連体修飾かを見ると、かなり絞れます。
接続は未然形
「む」は未然形に接続します。
- 行か+む
- 見+む
- せ+む
のように付きます。
まず直前の語が未然形になっているかを確認し、助動詞「む」と特定してから意味を考えます。
三人称なら推量が基本候補
主語が第三者なら、「〜だろう」と未来・未確定のことを推し量る推量が有力です。
- かの人も来む。
なら「その人も来るだろう」と読めます。
話し手自身の意志ではないので、まず推量を考えるわけです。
一人称なら意志を疑う
主語が「我」「われ」など一人称なら、「〜しよう」という意志が有力です。
- 我、都へ帰らむ。
なら「私は都へ帰ろう」と考えます。
もちろん文脈が最終判断ですが、人称は非常に強い手掛かりです。
二人称なら勧誘・適当が候補
相手に向けて「〜するのがよい」「〜してはどうか」と働きかける文なら、適当・勧誘を考えます。
- 汝も共に行かむ。
文脈によって「一緒に行こう」のような勧誘になります。
命令ほど強くなく、相手を誘ったり適切な行動を示したりする場面です。
名詞の前なら婉曲・仮定を考える
「む」の後ろに名詞が続き、その名詞を修飾している場合は重要です。
- 言はむこと
- 見む人
のような形です。
このとき、「〜ような」「〜としたらその」と柔らかく表す婉曲や、仮定的な意味を考えます。
特に「む+名詞」を見たら、文末の推量・意志とは別の使い方かもしれない、と切り替えるのが実戦的です。
人称判定は絶対ではない
「一人称なら必ず意志」と固定すると危険です。古文では主語が省略されることも多く、敬語や前後の動作から主語を推定する必要があります。
そのため、
- 主語を特定する
- 文末か連体修飾かを見る
- 一人称・二人称・三人称の傾向を当てる
- 文脈に合う訳を確認する
という順で考えてください。
「む」の反対方向に近い意味を持つ助動詞は古典文法「じ」の見分け方で整理しています。多義的助動詞の判定法として「べし」の見分け方も合わせて確認できます。
主語が省略されたら敬語と会話の流れで補う
実際の古文では「我」「汝」「かの人」のように主語が毎回書かれるわけではありません。そこで、まず直前まで誰が話していたか、誰の行動が続いているかを確認します。
さらに尊敬語が使われていれば高位者が主語、謙譲語があればその動作の向かう先に高位者がいる、といった敬語の方向も主語推定に使えます。主語が話し手自身だと分かれば意志、第三者なら推量という候補へ進めます。
また「む+名詞」では、人称より先に連体修飾であることを見るのが重要です。「来む人」のような形を文末の推量と同じ手順で処理すると誤りやすいため、文末か名詞修飾かを先に分岐し、その後に人称を見ると安定します。
確認問題
次の「む」の意味を考えてください。
- 我は明日帰らむ。
- 花はやがて散らむ。
- いざ、共に見む。
- 語らむ人を待つ。
基本的には、
- 意志
- 推量
- 勧誘
- 婉曲・仮定的用法を検討
です。
4は「む」が名詞「人」を修飾している点が重要です。
まとめ
「む」の判別では、意味一覧を頭から当てはめるより、
- 一人称 → 意志
- 三人称 → 推量
- 二人称への働きかけ → 適当・勧誘
- む+名詞 → 仮定・婉曲
という順で候補を絞る方が速くなります。
最後は文脈で確認しますが、人称と文中の位置を先に見るだけで、選択肢は大きく減ります。
この記事は文部科学省、国立国語研究所、公立高校の公開古典文法資料を参照し、例文・問題は独自に作成しています。