古文の助動詞「ぬ」の活用は「な・に・ぬ・ぬる・ぬれ・ね」です。まずこの6つを押さえれば、「ぬる」「ぬれ」が何形かもすぐ確認できます。
ただし本文中の「ぬ」がすべて完了の助動詞とは限りません。古文では、打消の助動詞「ず」の連体形も「ぬ」になるため、見分けが必要です。
| 見える形 | 正体 | 接続 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 咲きぬ | 完了の助動詞「ぬ」 | 連用形 | 咲いた |
| 咲かぬ花 | 打消「ず」の連体形「ぬ」 | 未然形 | 咲かない花 |
最短で見分けるなら、「ぬ」の直前が連用形なら完了、未然形なら打消と考えます。
助動詞「ぬ」の活用表|な・に・ぬ・ぬる・ぬれ・ね
| 活用形 | 形 |
|---|---|
| 未然形 | な |
| 連用形 | に |
| 終止形 | ぬ |
| 連体形 | ぬる |
| 已然形 | ぬれ |
| 命令形 | ね |
「なにぬぬるぬれね」と続けて覚える形です。たとえば検索でよく見かける「ぬる」は連体形、「ぬれ」は已然形です。
完了の「ぬ」はナ変型の活用をし、基本的には動作が完了したことを表します。
完了の「ぬ」は連用形に付く
完了の助動詞「ぬ」は連用形接続です。
たとえば、
- 花咲きぬ。
- 文を書きぬ。
- 鳥飛びぬ。
では、「咲き」「書き」「飛び」はすべて連用形です。
したがって、この「ぬ」は完了で、
- 花が咲いた
- 文を書いた
- 鳥が飛んだ
と訳せます。
完了の「ぬ」と「つ」の違いや、強意になる場合は古典文法「つ」と「ぬ」の違いで詳しく整理しています。
打消の「ぬ」は助動詞「ず」の連体形
一方、打消の助動詞「ず」は未然形に接続します。その連体形の一つが「ぬ」です。
たとえば、
- 花咲かぬ庭
- 文を書かぬ人
- 鳥飛ばぬ空
では、「咲か」「書か」「飛ば」は未然形です。
したがって、この「ぬ」は打消で、
- 花が咲かない庭
- 文を書かない人
- 鳥が飛ばない空
と訳します。
完了と打消の「ぬ」は直前の活用形で見分ける
意味だけで考えるより、次の順番に固定した方が安定します。
- 「ぬ」の直前の語を見つける
- その語を辞書形に戻す
- 本文中の形が未然形か連用形か確認する
- 連用形なら完了、未然形なら打消を第一候補にする
- 最後に後続語と文脈で確認する
たとえば「知りぬ」と「知らぬ」なら、
- 知り=「知る」の連用形 → 完了
- 知ら=「知る」の未然形 → 打消
です。
「ぬ」だけを見るのではなく、一文字前までセットで見るのがコツです。
「ぬる」「ぬれ」は何形?
完了の助動詞「ぬ」では、
- ぬる=連体形
- ぬれ=已然形
です。
たとえば「咲きぬる花」の「ぬる」は、後ろの名詞「花」を修飾する連体形です。
ただし、形だけを見て意味を決めるのではなく、まず「ぬ」がどの助動詞なのかを接続で確かめてください。
「ぬべし」などでは強意になることがある
完了の助動詞「ぬ」は、後ろに推量・意志などの助動詞が続くと、文脈によって強意として読まれることがあります。
たとえば「読みぬべし」なら、「読み」が連用形なので「ぬ」は完了の助動詞です。そのうえで「べし」と結びつき、「きっと読むだろう」のような強い意味を検討します。
この部分は「ぬ=常に完了」と一語一訳で覚えず、後ろの助動詞まで見た方が安全です。
確認問題
次の「ぬ」が完了か打消か考えてみましょう。
- 鳥飛びぬ。
- 鳥飛ばぬ空。
- 文を書きぬ。
- 文を書かぬ人。
- 花咲きぬべし。
答え
- 完了
- 打消
- 完了
- 打消
- 完了の「ぬ」。後ろの「べし」との関係から強意も検討
まとめ
- 完了の助動詞「ぬ」の活用はな・に・ぬ・ぬる・ぬれ・ね
- 完了の「ぬ」は連用形接続
- 打消の「ぬ」は助動詞「ず」の連体形で、未然形接続
- 「ぬる」は連体形、「ぬれ」は已然形
- 見分けるときは「ぬ」より前の活用形を見る
同じように接続で見分ける古典文法として、「なり」の断定と伝聞・推定、「る・らる」の受身・尊敬・自発・可能も整理しています。