中学1年の「文字式」は、数字だけの計算から数学の見え方が大きく変わる単元です。文字が入った途端に難しく見えますが、文字は特別な記号ではありません。まだ決まっていない数や、いろいろな値を取る数を表しています。
この記事では、文字式の書き方、項と係数、式の値、同類項の計算、分配法則までを順に整理します。公式だけを覚えるのではなく、どの操作で止まっているかを見つけることが大切です。
先に結論
文字式で混乱したら、「文字を数として扱えているか」「省略された掛け算を戻せるか」「同じ文字の項だけをまとめているか」の3点を確認します。計算ルールを増やす前に、式を読める状態へ戻すのが先です。
文字を使うと何が便利なのか
1個120円のパンを買う場面を考えます。3個なら120×3円、5個なら120×5円です。個数がまだ決まっていないとき、その個数を x 個とすれば、代金は120x円と一つの式で表せます。
文字式は、答えをぼかすためのものではありません。変わる数を文字に置き換え、数量の関係を短く表すための道具です。この見方は、次の一次方程式や比例・反比例にもつながります。
文字式の書き方
掛け算の記号は省略する
- 3 × x = 3x
- a × b = ab
- x × 4 = 4x
- x × x = x2
数字と文字の積では数字を前に書きます。1×x は x、-1×x は –x と表します。したがって、x の係数は1、-x の係数は-1です。
割り算は分数で表す
x÷3 は x/3、a÷b は a/b と表します。3÷x は3/xです。割られる数と割る数を逆にしないようにします。
たとえば「xを5で割る」は x/5 ですが、「5をxで割る」は5/xです。日本語の順番を一度、割り算の式へ直してから分数にすると間違いにくくなります。
数量を文字式で表す
文字式の問題では、計算よりも単位と数量の関係で止まることがあります。
- 1本80円の鉛筆をx本買う代金:80x円
- x円を出して500円の商品を買ったおつり:(x-500)円
- 時速4kmでx時間歩く道のり:4xkm
- akmを3時間で進む速さ:a/3 km/h
文章を見てすぐ式にしにくい場合は、「1個分」「全部の個数」「もとの量」「残り」のどれを表すかを先に言葉で確認します。
項と係数とは
3x-5y+7という式は、加法だけの形に見ると、3x、-5y、7の3つの項からできています。符号を項に含める点が重要です。
- 3xの係数:3
- -5yの係数:-5
- 文字を含まない項:7
「-5yの係数は5」と符号を落とす間違いがよくあります。項を区切るときは、前の符号ごと囲むようにします。
式の値は文字に数を代入して求める
文字をある数に置き換えることを代入といいます。たとえば、2x-3でx=4なら、2×4-3=5です。
x=-4を代入するときは、負の数を括弧に入れます。
- 2x-3 = 2×(-4)-3 = -11
- x2 = (-4)2 = 16
-42と書くと、通常は-(42)=-16を表します。負の数そのものを代入したことが分かるよう、最初に括弧を付けます。
同類項だけをまとめる
3x+5xは、xが3個とxが5個なので8xです。同じ文字部分を持つ項を同類項といいます。
- 3x+5x = 8x
- 7a-2a = 5a
- 4x+3-x+5 = 3x+8
3x+5を8xにすることはできません。3xはxが3個、5はただの数で、種類が違うからです。また、2x+3yも文字が違うためまとめられません。
分配法則で括弧を外す
括弧の外の数を、括弧の中のすべての項に掛けます。
- 3(x+2) = 3x+6
- 2(4x-3) = 8x-6
- -3(x-2) = -3x+6
最後の例では、-3×(-2)=+6です。最初の項にだけ掛けたり、括弧の中の符号をそのまま残したりしないようにします。
よくある5つの間違い
1.3×xをx3と書く
数字を文字の前に置き、3xと書きます。
2.x÷3を3/xにする
割り算の順番を保ち、x/3とします。
3.負の数を括弧なしで代入する
2xへx=-3を代入するときは、2×(-3)と書きます。
4.違う種類の項をまとめる
2x+3や2x+3yは、それ以上まとめられません。
5.分配法則を片方にしか使わない
4(x-2)は4x-2ではなく、4x-8です。
どこまで戻ればよいか
文字式が苦手なときに、複雑な計算を最初から繰り返す必要はありません。次の順に一つずつ確認します。
- 文字を数の代わりとして読める
- 省略された掛け算を元に戻せる
- 割り算を分数に直せる
- 項を符号ごとに区切れる
- 負の数を括弧に入れて代入できる
- 同類項だけをまとめられる
- 分配法則をすべての項に使える
特に符号計算で止まる場合は、先に中1数学「正負の数」へ戻ります。できない操作を一つに絞り、2〜3問確認してから文字式へ戻る方が進みやすくなります。
確認問題
- a×7を、掛け算の記号を使わずに表してください。
- x÷5を分数の形で表してください。
- 4x-3でx=-2のとき、式の値を求めてください。
- 5a-2+3a+7を簡単にしてください。
- -2(3x-4)を計算してください。
答えを確認する
- 7a
- x/5
- -11
- 8a+5
- -6x+8
次につながる単元
文字式で身につけた代入・同類項・分配法則は、次の一次方程式でそのまま使います。方程式で移項だけを覚えても、式を整理できなければ途中で止まります。まず文字式の計算を短い式で安定させてから進むのが近道です。
入試で計算問題を落とす原因と復習の絞り方は、高校入試数学の基礎問題を落とさない勉強法でも整理しています。
板宿・須磨区で中学数学の勉強を相談したい方へ
とだ塾では、文字式を何ページも解かせる前に、符号・代入・同類項など、どの操作で止まっているかを確認します。できるところまで課題を下げ、自分のペースで進めますが、止まったままにはしません。