二次関数で平方完成を習うと、
「xの係数を半分にして二乗する」
という作業だけを覚えてしまいがちです。
しかし平方完成の目的は、計算を難しくすることではありません。二次式を『平方+定数』の形に変えて、最小値・最大値や頂点を直接読めるようにすることです。
x²+bxを平方の形へ近づける
まず
を展開します。
xの係数は2pです。これをx²+bxのbに合わせたいので、
となるp、つまりp=b/2を選びます。
だから「xの係数の半分」を使います。単なる覚え方ではなく、展開したときの2pをbに合わせているのです。
足した分は引いて元の式を保つ
たとえば
なら、6の半分は3です。
なので、元の式より9多くなっています。
そこで
とします。
「勝手に9を足してよい」のではなく、足した9を同時に引いているので式の値は変わっていません。
平方完成すると最小値がすぐ分かる
二次関数
を平方完成すると、
です。
平方(x+3)²は必ず0以上なので、最小値は4です。そのときx=-3です。
つまり平方完成によって、
- どこで最小になるか
- 最小値はいくつか
が式を見ただけで分かります。
頂点の座標が見える
一般に
の形なら頂点は(p,q)です。
平方部分が0になるx=pで、y=qになります。
二次関数ax²+bx+cをこの形へ変えるのが平方完成です。標準形から頂点形式へ変換している、と考えると目的が明確になります。
グラフの平行移動も読める
たとえば
はy=x²のグラフを右へ2、上へ3移動したものです。
平方完成すると、展開された式では見えにくかった「どこへ移動した放物線か」が見えるようになります。
そのため平方完成は、最大最小だけでなく、グラフの作図、軸、頂点、値域の問題でも中心的な操作になります。
判別式ともつながっている
二次関数とx軸の位置関係を見るときも平方完成は有効です。頂点がx軸より上か下かで、交点の個数を考えられます。
式だけで高速に判定する方法が判別式です。判別式で解の個数が分かる理由を見ると、平方完成・解の公式・グラフが同じ構造を別の角度から見ていることが分かります。
別単元でも「定義を広げる意味」を知りたい場合は分数乗がルートになる理由も参考になります。
aが1でないときは何をしている?
先頭の係数が1でない場合も考え方は同じです。たとえば
なら、まずx²とxの部分から2をくくって
とします。中を平方完成すると、
です。
ここで大切なのは「8の半分を4」とするのではなく、2をくくった後のxの係数4を半分にすることです。一般のax²+bx+cでも、最初にaをくくれば同じ型へ持ち込めます。
この操作から頂点のx座標が-b/(2a)になることも見えてきます。公式を別に暗記するより、平方完成の途中で現れる値として理解すると、軸の方程式や頂点座標も一つの流れで覚えられます。
確認問題
次の式を平方完成してください。
- x²+8x+5
- x²-10x+7
- 2x²+8x+1
答えは、
- (x+4)²-11
- (x-5)²-18
- 2(x+2)²-7
です。
3番は最初に2をくくると、2(x²+4x)+1となり処理しやすくなります。
まとめ
平方完成をする理由は、二次式を平方の形に変え、二次関数の構造を見えるようにするためです。
xの係数を半分にするのは、(x+p)²の展開でxの係数が2pになるからです。そして足した平方分を引くことで、元の式を保っています。
作業だけを覚えるより、「平方は0以上だから頂点と最大最小が読める」までつなげると、平方完成を使う場面が判断しやすくなります。
この記事は文部科学省の高等学校学習指導要領・教科書関連資料で範囲を確認し、説明と問題は独自に作成しています。