「分からない問題は質問しなさい」では
成績が伸びない理由
「分からないなら質問しなさい」
勉強でつまずいている子に対して、 大人はよくこう言います。
もちろん、間違った言葉ではありません。
ただ、実際に生徒を見ていると、 この言葉だけで成績が伸びる子はそこまで多くありません。
なぜなら問題は、 「質問するかどうか」 だけではないからです。
本当に見るべきなのは、
「自分はどこまで分かっていて、
どこから分からないのか」
を見られているかです。
勉強が伸びる子は、 ただ質問回数が多いわけではありません。
自分のつまずきを、 少しずつ言葉にできます。
逆に、成績が伸び悩む子ほど、 「分からない」が全部まとまってしまっていることがあります。
質問できない子は、何が分からないか分かっていない
子どもは、慣れてくるとある程度は話してくれます。
まったく質問しないわけではありません。
ただ、言語化が苦手な子はかなり多いです。
一見すると、ちゃんと質問しているように見えます。
しかし、これだけでは根本的な理解につながりにくいです。
なぜなら、 どこまで分かっていて、どこから分からないのか が整理されていないからです。
「分からない」の中身が、 本人の中でも曖昧なままになっています。
例えば英語でも、
- 単語の意味が分からないのか
- 文型が分からないのか
- 時制を見落としているのか
- 熟語を知らないのか
- 日本語の意味だけで並べているのか
同じ「分からない」でも、 原因はまったく違います。
でも本人の中では、 全部まとめて「分からん」になってしまっている。
質問できないことは、表に出ている現象です。
本当の問題は、
自分のつまずきを
自分で見られていないことです。
「これどうやるん?」だけでは、また同じところで止まる
もちろん、 分からない問題を聞くこと自体は悪くありません。
ただ、その場の解き方だけを聞いて終わると、 また同じタイプの問題で止まりやすくなります。
実際、 「これどうやるん?」 と聞いて、 同じ質問を3回ぐらい繰り返す子もいます。
これは、 頭が悪いからではありません。
根本の理解まで整理できていないからです。
例えば数学で、 ある式変形が分からなかったとします。
その場では説明を聞いて、 「なるほど」と思う。
でも次の類題になると、 また同じところで止まる。
これは、 「どこで詰まったのか」 を自分で確認できていないからです。
解き方を聞くことより、 自分の間違い方を知ることの方が大切です。
成績が伸びる子は、 「答え」を覚えるより、 「自分がどう間違えたか」 を見ています。
伸びる子の質問には「ここまでは分かった」がある
成績が伸びやすい子は、 質問の仕方が少し違います。
「ここまではできたと思うんですけど、この次が分かりません」
「こう考えたんですけど、どこが違いますか?」
「この式変形から急に分からなくなりました」
こういう質問ができる子は、 自分を少し客観的に見ています。
「自分は何ができていて、何ができていないのか」 を確認しようとしているのです。
質問回数が多いこと自体は問題ではありません。
ただ、 「答えだけを取りにいく質問」 になってしまうと、 勉強は伸びにくくなります。
実際、 質問しておいて聞いていない子もいます。
それは、 理解したいというより、 「早く終わらせたい」 が先に来ているからです。
勉強が苦手な子ほど、 「だるいことから逃げたい」 気持ちは強くなります。
だから安直なやり方だけ覚えて、 「これすればいいんでしょ」 になりやすい。
しかし、 それでは根本は変わりません。
「分からない」から逃げる前に、3秒だけ考えてみる
勉強が苦手な子ほど、 分からない問題に出会った瞬間、 すぐ答えを聞こうとすることがあります。
これは単なる怠けというより、 「分からない状態」に慣れていないことも多いです。
だから大切なのは、 すぐ正解を聞く前に、
まず3秒だけ考えること
「何が分からないのか」
「どこまでは分かるのか」
「似た問題と何が違うのか」
そこを少し整理するだけでも、 質問の質はかなり変わります。
分からない問題に耐える力は、 勉強ではかなり重要です。
すぐ正解を聞くより、 少し考えて整理する方が、 結果的に理解は深くなります。
前の学年に戻ることは、恥ずかしいことではない
今の学年の内容ができないとき、 実は前の学年からつまずいていることがあります。
しかし本人は、 「自分がどこから分かっていないのか」 に気づいていないことも多いです。
だからこそ、 前の学年に戻ることが必要になる場合があります。
「ここから分かってなかったのか」
この気づきが、勉強を変えることがあります。
無理に今の学年の難しい問題を続けても、 苦手意識だけが強くなることがあります。
必要なのは、 無理に進むことではありません。
できる場所まで戻って、 成功体験を積み直すことです。
実際、 伸びる子ほど、 「今のやり方がベストじゃないかもしれない」 と考えられます。
逆に、 間違った方法で結果が出てしまうと、 後から修正するのは難しくなります。
全部やろうとする子ほど、計画通りに進まない
勉強が苦手な子ほど、 真面目に全部やろうとしてしまうことがあります。
しかし、 全部を完璧にやろうとすると、 時間が足りなくなります。
そして計画通りに進まず、 最終的に自信をなくしてしまいます。
できる子は、 「今やるべきこと」 と 「今はやらなくていいこと」 を分けています。
悩み続けるより、 一旦進む判断もできます。
勉強とは、 「何をやるか」 だけでなく、
「何を今はやらないか」
を決める力でもあります。
まとめ|質問力は「答えを聞く力」ではない
「分からない問題は質問しなさい」
この言葉は正しいようで、 それだけでは足りません。
本当に必要なのは、
自分がどこまで分かっていて、
どこから分からないのかを、
少しずつ言葉にする力です。
質問できないことは、 性格だけの問題ではありません。
自分の分からなさを見る経験が、 まだ足りていないだけかもしれません。
勉強で伸びる子は、 ただ答えを聞く子ではありません。
自分のつまずきを、 少しずつ説明できる子です。


