2016年神戸大学の英語【神戸市須磨区板宿駅近くの学習塾・とだ塾】

2026.05.15

英文読解 × スキル分解

英語長文で止まる原因は、単語不足だけではない。

英文が読めないとき、多くの人は「単語を覚えれば解決する」と考えます。しかし実際には、単語・語法・構造・流暢性・日本語理解が別々に絡み合っています。この記事では、英文読解でどこに詰まっているのかを「重症度順」に分解します。

今回扱う英文

次の英文を例に考えます。

The relative unimportance of the willpower challenges allowed participants to exercise the muscle of self-control without the internal stress that makes attempts to change difficult.

一見すると難しそうですが、この文の本質は「単語が全部難しい」ことではありません。むしろ、読者が動詞を見失い、構造を保持できなくなるところに難しさがあります。

まずは日本語訳

直訳寄り

意志力を必要とする課題が比較的重要でなかったことは、参加者が、変わろうとする試みを困難にする内面的ストレスなしに、自制心という筋肉を鍛えることを可能にした。

模範解答に近い自然な訳

意志力を必要とする課題がそれほど重要ではなかったため、参加者は、変わろうとするときに生じる内面的ストレスを感じることなく、自制心を鍛えることができた。

ここで重要なのは、英語を読む前に、日本語訳を見ても内容が理解できるかどうかです。「相対的」「自制心」「内面的ストレス」などの日本語概念が分からない場合、それは英語以前の問題です。

英語が読めない症状の重症度

英語が読めない原因を、全文理解へのダメージが大きい順に並べると、次のようになります。

S

流暢性崩壊:指でなぞる速度で読めない

一語ずつ止まり、文頭に戻り、主語や動詞を忘れてしまう状態です。英語をリアルタイム処理できていないため、全文理解が大きく崩れます。

戻り読み 一語ずつ訳す 主語を忘れる

A

構造崩壊:SVOC・句節が取れない

何が主語で、何が動詞で、どこからどこまでが修飾なのかが分からない状態です。単語を知っていても、構造が取れなければ意味は崩れます。

主語が長い 動詞を見失う 関係詞で止まる

B

語法崩壊:動詞の型が分からない

allow O to domake O C のような語法が取れない状態です。語法は、単語以上に意味把握へ強く影響することがあります。

allow O to do make O C 動詞支配

C

単語不足:未知語密度が高すぎる

1行に3語以上、パッと意味が出ない内容語があると、文法が分かっていても処理が崩れやすくなります。特に、動詞・抽象名詞・論理語が分からないと危険です。

抽象語 動詞不足 未知語密度

D

概念理解不足:日本語訳を見ても意味が分からない

これは英語力だけの問題ではありません。訳された日本語を読んでも意味が分からない場合、現代文・背景知識・抽象概念の理解が必要です。

日本語理解 背景知識 抽象概念

この英文をどう確認していくか

いきなり全文和訳を作ろうとすると、途中で処理が崩れます。そこで、重症度の高いものから順番に確認します。

1

日本語訳を見て、内容が分かるか

ここで分からないなら、英語以前に概念理解・日本語理解の問題があります。

2

指でなぞる速度で一文を追えるか

止まりすぎる場合、ワーキングメモリが崩れている可能性があります。

3

メイン動詞を見つけられるか

この文のメイン動詞は allowed です。

4

構造を取れるか

A allowed B to do の大枠を先に取ります。

動詞っぽく見える語に注意

この英文は、動詞としても使える語が多く含まれています。そのため、読解中に「どれが本当の動詞なのか」を見失いやすくなります。

The relative unimportance of the willpower challenges allowed participants to exercise the muscle of self-control without the internal stress that makes attempts to change difficult
動詞に見える理由 今回の役割 動詞ではない根拠
challenges challenge は「挑戦する」という動詞にもなる 名詞 the willpower challenges で名詞句。直後に allowed があるため、challenges を動詞にすると動詞が連続してしまう。
stress stress は「強調する」という動詞にもなる 名詞 without は前置詞なので、後ろには名詞句が来る。
attempts attempt は「試みる」という動詞にもなる 名詞 that makes … ですでに makes が動詞。make O C の O として attempts to change が入る。
change change は名詞・動詞どちらもある 動詞 to change なので不定詞の動詞。
英文読解では、「何が動詞か」を見つけるだけでなく、「何が動詞ではないか」を消去する力が重要です。

willpower challenges は何か

willpower challenges のように名詞が2つ並ぶ形は、英語でよく出てきます。

限定名詞

前の名詞が、形容詞のように後ろの名詞を修飾している状態です。

willpower challenges
= 意志力に関する課題

複合名詞的な名詞句

名詞+名詞で、まとまった意味を作ることがあります。

school bus / coffee cup
後ろの名詞が本体です。

今回なら、本体は challenges です。willpower は、それがどんな課題なのかを説明しています。

make O to do ではなく、make O C と判断する理由

後半の that makes attempts to change difficult は、特に誤読しやすい部分です。

that makes attempts to change difficult
= 変わろうとする試みを困難にする

ここで make 人 to do のように読みたくなるかもしれません。しかし、使役の make は普通、make O do の形を取ります。つまり to do ではなく、原形不定詞です。

makes / attempts to change / difficult

V / O / C

変わろうとする試みを / 困難にする

精読できないものは速読できない

「速く読めるようになりたい」という相談は多いですが、精読できない英文を速く読むことはできません。ただし、ここで注意すべきなのは、精読と遅読は違うということです。

悪い遅読

  • 一語ずつ日本語にする
  • 何度も戻り読みする
  • 文頭や主語を忘れる
  • 全部を同じ重さで処理する

本来の精読

  • 主語と動詞を見つける
  • 修飾と本体を分ける
  • 語法を当てはめる
  • 意味のかたまりで処理する
速読とは、精読を省略することではありません。精読でやっていた構造認識が、自動化されることです。

項目別:どう勉強すればいいか

ランク 原因 症状 必要な勉強
S 流暢性崩壊 戻り読み、一語ずつ訳す、文頭を忘れる 短文音読、スラッシュリーディング、前から読む訓練、瞬間英文処理
A 構造崩壊 主語・動詞・修飾が分からない SVOC判定、句と節の区切り、長い主語訓練、後置修飾判定
B 語法崩壊 単語は知っているのに意味が崩れる 動詞支配、重要語法、第5文型語法、句動詞
C 単語不足 内容語が抜ける、抽象語で止まる 頻出語反復、抽象語、動詞中心暗記、多読
D 概念理解不足 日本語訳を見ても意味が分からない 現代文、説明文の要約、背景知識、ニュースや評論文への慣れ

英語が読めない原因を診断する

とだ塾では、英文をただ訳すだけでなく、「どこで詰まっているか」を分解して確認します。単語不足なのか、構造が取れていないのか、語法で崩れているのかを分けることで、必要な勉強がはっきりします。

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