英語長文で止まる原因は、単語不足だけではない。
英文が読めないとき、多くの人は「単語を覚えれば解決する」と考えます。しかし実際には、単語・語法・構造・流暢性・日本語理解が別々に絡み合っています。この記事では、英文読解でどこに詰まっているのかを「重症度順」に分解します。
今回扱う英文
次の英文を例に考えます。
一見すると難しそうですが、この文の本質は「単語が全部難しい」ことではありません。むしろ、読者が動詞を見失い、構造を保持できなくなるところに難しさがあります。
まずは日本語訳
直訳寄り
模範解答に近い自然な訳
ここで重要なのは、英語を読む前に、日本語訳を見ても内容が理解できるかどうかです。「相対的」「自制心」「内面的ストレス」などの日本語概念が分からない場合、それは英語以前の問題です。
英語が読めない症状の重症度
英語が読めない原因を、全文理解へのダメージが大きい順に並べると、次のようになります。
この英文をどう確認していくか
いきなり全文和訳を作ろうとすると、途中で処理が崩れます。そこで、重症度の高いものから順番に確認します。
日本語訳を見て、内容が分かるか
ここで分からないなら、英語以前に概念理解・日本語理解の問題があります。
指でなぞる速度で一文を追えるか
止まりすぎる場合、ワーキングメモリが崩れている可能性があります。
メイン動詞を見つけられるか
この文のメイン動詞は allowed です。
構造を取れるか
A allowed B to do の大枠を先に取ります。
動詞っぽく見える語に注意
この英文は、動詞としても使える語が多く含まれています。そのため、読解中に「どれが本当の動詞なのか」を見失いやすくなります。
| 語 | 動詞に見える理由 | 今回の役割 | 動詞ではない根拠 |
|---|---|---|---|
| challenges | challenge は「挑戦する」という動詞にもなる | 名詞 | the willpower challenges で名詞句。直後に allowed があるため、challenges を動詞にすると動詞が連続してしまう。 |
| stress | stress は「強調する」という動詞にもなる | 名詞 | without は前置詞なので、後ろには名詞句が来る。 |
| attempts | attempt は「試みる」という動詞にもなる | 名詞 | that makes … ですでに makes が動詞。make O C の O として attempts to change が入る。 |
| change | change は名詞・動詞どちらもある | 動詞 | to change なので不定詞の動詞。 |
willpower challenges は何か
willpower challenges のように名詞が2つ並ぶ形は、英語でよく出てきます。
限定名詞
前の名詞が、形容詞のように後ろの名詞を修飾している状態です。
willpower challenges
= 意志力に関する課題
複合名詞的な名詞句
名詞+名詞で、まとまった意味を作ることがあります。
school bus / coffee cup
後ろの名詞が本体です。
今回なら、本体は challenges です。willpower は、それがどんな課題なのかを説明しています。
make O to do ではなく、make O C と判断する理由
後半の that makes attempts to change difficult は、特に誤読しやすい部分です。
= 変わろうとする試みを困難にする
ここで make 人 to do のように読みたくなるかもしれません。しかし、使役の make は普通、make O do の形を取ります。つまり to do ではなく、原形不定詞です。
makes / attempts to change / difficult
V / O / C
変わろうとする試みを / 困難にする
精読できないものは速読できない
「速く読めるようになりたい」という相談は多いですが、精読できない英文を速く読むことはできません。ただし、ここで注意すべきなのは、精読と遅読は違うということです。
悪い遅読
- 一語ずつ日本語にする
- 何度も戻り読みする
- 文頭や主語を忘れる
- 全部を同じ重さで処理する
本来の精読
- 主語と動詞を見つける
- 修飾と本体を分ける
- 語法を当てはめる
- 意味のかたまりで処理する
項目別:どう勉強すればいいか
| ランク | 原因 | 症状 | 必要な勉強 |
|---|---|---|---|
| S | 流暢性崩壊 | 戻り読み、一語ずつ訳す、文頭を忘れる | 短文音読、スラッシュリーディング、前から読む訓練、瞬間英文処理 |
| A | 構造崩壊 | 主語・動詞・修飾が分からない | SVOC判定、句と節の区切り、長い主語訓練、後置修飾判定 |
| B | 語法崩壊 | 単語は知っているのに意味が崩れる | 動詞支配、重要語法、第5文型語法、句動詞 |
| C | 単語不足 | 内容語が抜ける、抽象語で止まる | 頻出語反復、抽象語、動詞中心暗記、多読 |
| D | 概念理解不足 | 日本語訳を見ても意味が分からない | 現代文、説明文の要約、背景知識、ニュースや評論文への慣れ |
英語が読めない原因を診断する
とだ塾では、英文をただ訳すだけでなく、「どこで詰まっているか」を分解して確認します。単語不足なのか、構造が取れていないのか、語法で崩れているのかを分けることで、必要な勉強がはっきりします。
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