先に結論
マイナスは、数直線では「正の向きと反対」として見ることができます。さらに「×(−1)」は、その向きを反転させる操作として考えられます。だから、反対向きをもう一度反対にすると、正の向きに戻ります。
中学数学では、
(−2)×(−3)=6
のように、マイナスどうしを掛けるとプラスになると習います。
「そういうルール」と覚えることもできますが、今回はムーンウォークのように、正面を向いたまま反対方向へ下がる動きを手がかりに、マイナスを「向き」として考えてみます。
まず、マイナスを「反対向き」として見る
数直線で右向きを正の向きと決めます。
負の向き ← 0 → 正の向き
+3 は右へ3、−3 はその反対へ3進む。
ここで大事なのは、マイナスを単に「小さい数」とだけ見るのではなく、基準にした向きとは反対という意味でも捉えられることです。
ムーンウォークで「負の向き」をイメージする
ムーンウォークでは、体は前を向いたまま、実際の移動は後ろへ進みます。
体の向き: →
移動の向き: ←
「向いている方向」と「進んでいる方向」は同じとは限りません。
【画像の挿入位置|ムーンウォークの図】
右を向いた人型を0付近に置き、体の向きは右のまま、−1、−2、−3へ下がっていく。矢印は左向き。「体の向き」と「移動の向き」を別々に表示する。
ムーンウォークそのものが負の数というわけではありません。ここでは、「正の向きと逆へ進む」という感覚をつかむためのモデルとして使っています。
2×(−3)なら「後ろへ3」を2回
まず、正の数を掛ける場合から考えます。
2×3は「3を2回分」と考えられます。
同じように、
2×(−3)=−6
は、「負の向きへ3進む移動を2回分」と考えればよいわけです。
0から−3へ、さらに−3進んで−6へ到着します。
「×(−1)」は向きを反転させる
ここからが本題です。
3に−1を掛けると、
(−1)×3=−3
になります。
逆に、−3に−1を掛けると、
(−1)×(−3)=3
になります。
「×(−1)」で向きを反転してみる
−3 ← 0 → +3
−3は0から見て左側。そこに「×(−1)」をすると、0をはさんだ反対側の+3へ移る、と考えられます。
つまり「×(−1)」は、数直線では0を中心に向きをひっくり返す操作として見ることができます。
反対向きを、もう一度反対にする。だから元の向きに戻ります。
では、(−2)×(−3)はどう見る?
(−2)は、2×(−1)と書けます。
そこで、
(−2)×(−3)
を、
2×{(−1)×(−3)}
と見ます。
まず(−1)×(−3)で向きが反転して+3になります。
あとはその3を2回分なので、
2×3=6
です。
イメージでは:
負の向き → 「×(−1)」で反転 → 正の向き。
ただし、ムーンウォークは「証明」ではない
ここまでの話は、符号の意味をつかむためのイメージです。
数学として「なぜ必ずそうならないといけないのか」は、分配法則を使うと確認できます。
分配法則を崩さないためには、マイナス×マイナスはプラスになる
0は、1+(−1)と書けます。
そこで、
0=(−1)×0
を考えます。
0=1+(−1)なので、
0=(−1)×{1+(−1)}
です。
分配法則を使うと、
0=(−1)×1+(−1)×(−1)
となります。
(−1)×1=−1だから、
0=−1+(−1)×(−1)
です。
この式が成り立つには、
(−1)×(−1)=1
でなければなりません。
つまり中学数学では、これまで使ってきた分配法則や0の性質を、負の数でも同じように使えるようにすると、マイナス×マイナスはプラスに決まると考えられます。
3問だけ確認
① (−1)×5 は?
−5。5の向きを反転します。
② (−1)×(−5)は?
+5。負の向きをもう一度反転します。
③ (−4)×(−3)は?
+12。(−4)=4×(−1)と見れば、まず−3を反転して+3、その3を4回分です。
まとめ
- 負の数は、正の向きとは反対の向きとして考えられる
- 「×(−1)」は、数直線上で向きを反転させる操作としてイメージできる
- 反対の反対なので、マイナス×マイナスはプラスになる
- 数学的には、分配法則を保つと(−1)×(−1)=1に決まる
「ルールは知っているけれど、なぜそうなるか分からない」という数学は他にもあります。
とだ塾では、公式や計算ルールをそのまま覚えるだけではなく、必要なら図や具体例まで戻って考えます。分からないところは、できるところまで落として整理します。