完了の助動詞「たり」「り」は、どちらも
- 完了「〜た」
- 存続「〜ている」
の意味を持ちます。
意味が同じなら何が違うのかというと、まず大きいのは接続です。そのうえで、出来事が終わったことを言うのか、結果の状態が続いているのかを文脈から判断します。
「たり」は連用形接続
完了の助動詞「たり」は連用形に接続します。
- 書き+たり
- 見+たり
- 咲き+たり
のように付きます。
活用はラ変型で、たら・たり・たり・たる・たれ・たれです。
まず「たり」を見つけたら、直前が連用形か確認します。
「り」はサ変未然形・四段已然形に接続
「り」の接続は古典文法の頻出事項です。
- サ変の未然形
- 四段の已然形
に接続します。
よく「サ未四已」とまとめて覚えます。
たとえば四段活用「書く」の已然形は「書け」なので、「書けり」となれば「書く+り」の可能性を考えます。
接続が特殊なので、たりとりを区別する問題では最重要です。
完了|動作が終わったことに注目
「〜した」「〜てしまった」と、動作が完了したことを述べるなら完了です。
- 文を書きたり。
文脈が「書き終えた」という出来事を述べていれば、完了と取ります。
時間の進行の中で、一つの動作が終了したことを表すイメージです。
存続|結果の状態が残っている
「〜ている」「〜てある」と、動作の結果がそのまま続いているなら存続です。
- 門は閉ぢたり。
なら、単に「門を閉じた」という動作完了ではなく、「門が閉じている」という状態を表す場合があります。
特に静止した景色や、ある状態を描写している文では存続を考えやすくなります。
完了と存続は文脈で決める
同じ形でも、前後によって意味が変わります。
- 花咲きたり。 → 「咲いた」と出来事を述べるなら完了
- 花咲きたり。 → 「花が咲いている」と景色を描くなら存続
短い一文だけでは決めきれない場合があります。
そのため、選択問題では前後の時間関係や描写の目的を確認します。
「つ・ぬ」との違いも整理する
完了を表す助動詞には「つ・ぬ」もあります。
「たり・り」は存続の意味を取りやすい点が大きな特徴です。
「つ・ぬ」の接続・強意との関係は古典文法「つ」と「ぬ」の違いで整理しています。また、「ぬ」が打消と完了のどちらかを見分ける方法は古文の「ぬ」は打消?完了?を参照してください。
動作の「瞬間」か結果の「状態」かを見る
完了と存続が迷うときは、文のカメラがどこを映しているか考えると分かりやすくなります。
「門を閉ぢたりて、人帰りぬ」のように、門を閉じる動作が次の出来事へつながっているなら「閉じた」と完了で読むのが自然です。一方、「門閉ぢたり。人影もなし」のように、その場の様子を描写しているなら「門が閉じている」と存続を考えやすくなります。
現代語訳で「〜た」と「〜ている」の両方が一応通るときは、前後に別の動作が進行しているか、静止した情景説明なのかを確認してください。出来事の進行を述べるなら完了、結果の状態を背景として描くなら存続という視点が実戦で役立ちます。
確認問題
次を考えてください。
- 「たり」が付く直前は何形か。
- 「り」が接続する二つの活用形は何か。
- 「戸は開きたり」を「戸が開いている」と訳すなら何の意味か。
- 「仕事を終へたり」を「仕事を終えた」と訳すなら何の意味か。
答えは、
- 連用形
- サ変未然形・四段已然形
- 存続
- 完了
です。
まとめ
「たり・り」は意味より先に接続を分けると整理しやすくなります。
- たり → 連用形接続
- り → サ変未然形・四段已然形
- 動作の終了 → 完了
- 結果の状態が続く → 存続
です。
特に「サ未四已」は識別問題でそのまま使えるので、形と意味を別々に処理してください。
この記事は文部科学省、国立国語研究所、公立高校の公開古典文法資料を参照し、例文・問題は独自に作成しています。