対数では最初に、
の底aについて
という条件を習います。「公式だから覚える」で済ませることもできますが、理由は指数関数との関係を見ると明確です。
対数は指数を逆向きにたどる仕組みです。底が1だと指数関数が全部同じ値になり、逆向きに指数を決められなくなります。
対数は指数を答えるもの
たとえば
を対数で書くと、
です。
「2を何乗すれば8になるか」という問いに3と答えています。
一般に
と
は対応しています。
この対応が一つに決まるためには、指数関数y=a^xが入力ごとに異なる値を取り、逆向きにたどれる必要があります。
底が1だと全部1になる
底を1にすると、
- 1^0 = 1
- 1^1 = 1
- 1^2 = 1
- 1^100 = 1
となります。
指数をどれだけ変えても答えは1です。
すると、
を「1を何乗すれば1になるか」と考えても、0でも1でも2でも答えになってしまいます。一つに決まりません。
一方、
なら、1を何乗しても2にならないため答えがありません。
このため底1では通常の対数関数を作れず、条件から除外します。
グラフで見ると底1だけ何が違う?
指数関数y=a^xは、底が1より大きければ右上がり、底が0より大きく1より小さければ右下がりになります。どちらも水平線を引けばグラフとの交点は高々1個なので、yの値から元のxを一つに戻せます。
ところがa=1ではy=1^x=1となり、グラフは横一直線です。y=1に対してxが無数に対応してしまい、逆関数としてxを一意に決められません。対数が「指数を答える関数」だからこそ、この一意性が必要です。
「逆関数を作れるか」で条件をまとめる
底の条件を別々に暗記するより、「指数関数を逆向きにたどって、指数を一つに決められるか」と考えると整理できます。
底が2なら、2の何乗が8かという問いには3という一つの答えがあります。底が2分の1でも、2分の1の何乗が4分の1かという問いには2と一つに決まります。しかし底が1では、1になる指数が無数にあり、1以外になる指数は一つもありません。
つまり問題は「値が増えるか減るか」ではなく、異なる指数に異なる値が対応しているかです。底が正で1以外ならこの条件を満たし、指数関数と対数関数を互いに逆の関係として扱えます。この見方まで持っておくと、公式の条件を忘れても理由から再構成できます。
0より大きい必要がある理由
底は1以外なら何でもよいわけではなく、実数の範囲で指数関数・対数関数を扱うときはa>0とします。
底0では、負の指数を考えると0の逆数が必要になり定義できません。0^0の問題もあります。
負の底も、整数の指数なら計算できることがありますが、指数を1/2のような分数や一般の実数まで広げると、実数の範囲で一貫して値を定められません。
たとえば(-4)^(1/2)は実数ではありません。
高校数学で指数関数を実数xに対して連続した関数として扱うため、底を正に限定します。
分数指数については分数乗がルートになる理由で詳しく説明しています。
0と1の間の底も問題ない
「底は1より大きくないといけない」と誤解することがありますが、0より大きく1より小さい底でも対数は定義できます。
たとえば底1/2なら、
と指数によって値が変化し、逆向きに指数を決められます。
グラフは右下がりになりますが、関数としては一対一です。
したがって条件は「a>1」ではなく、a>0かつa≠1です。
真数xが正である理由
対数では底だけでなく、
のxにもx>0という条件があります。
a>0ならaの実数乗は常に正です。つまり
の右辺xは正の値しか取りません。
その逆である対数も、実数の範囲では正のxに対して考えます。
底の条件と真数の条件は別々の暗記ではなく、指数関数から逆に見ればつながっています。
0乗とのつながり
指数の拡張そのものを整理すると、対数の条件も理解しやすくなります。
0乗が1になる理由では、指数法則を保つことでa^0=1になる流れを説明しています。
指数・対数は公式が多く見えますが、底に関する条件や指数法則を一つずつ理由からつなぐと、暗記する項目を減らせます。
確認問題
次のうち、実数の範囲で通常の対数の底として使えるものを選んでください。
- 2
- 1
- 1/3
- 0
- -2
答えは1と3です。
2は底が1、4は0、5は負なので、高校数学で扱う実数の対数の底の条件を満たしません。
また、log_2(-4)も実数の範囲では定義しません。真数は正である必要があります。
まとめ
対数の底の条件
は丸暗記するだけの制限ではありません。
- a=1:1^xが常に1で逆関数を作れない
- a=0:負の指数などまで一貫して扱えない
- a<0:実数指数まで広げると実数値を一貫して定められない
- 0<a<1:問題なく対数を定義できる
と指数関数側から見ると理由が分かります。
この記事は文部科学省の高等学校学習指導要領・解説を参照し、説明と例題は独自に作成しています。