指数を習い始めると、2の3乗は2を3回かける、2の2乗は2を2回かける、と理解できます。ところが突然、
と出てくると、「0回かけるなら0では?」と感じることがあります。
しかし0乗は、掛け算の回数だけから決めたものではありません。これまでの指数法則を0という指数まで矛盾なく広げると、a≠0ではa^0=1と決まります。
同じ数で割ると1になる
まずa≠0として、同じ数を自分自身で割ることを考えます。
一方、指数法則を使えば、
です。
同じ式が一方では1、もう一方ではa^0なので、
でなければ指数法則がつながりません。
これは3乗に限りません。
です。
指数を1ずつ下げても分かる
2の累乗を並べます。
- 2^4 = 16
- 2^3 = 8
- 2^2 = 4
- 2^1 = 2
指数が1下がるたびに値は2で割られています。
同じ規則を続ければ、
- 2^0 = 1
になります。
3なら
- 3^3 = 27
- 3^2 = 9
- 3^1 = 3
- 3^0 = 1
です。
「0回かける」という日本語だけで考えるより、累乗全体の規則を途切れさせない値として1が置かれていると見る方が数学的です。
「0回かける」が0を意味しない理由
掛け算で何も掛けていない状態を考えるとき、基準になるのは0ではなく1です。なぜなら1は何を掛けても値を変えない「掛け算の単位元」だからです。
たとえばa^1=aから指数を1つ減らす操作はaで割ることなので、a^0=a÷a=1となります。もしa^0を0にすると、a^1=a^0×aという指数法則の右辺が0になり、aと一致しません。
つまり「0回だから0」という発想は足し算の感覚を掛け算へ持ち込んだものです。指数では、掛け算の規則を保つ基準として1が自然に現れます。
負の指数にもつながる
0乗が1と分かると、その次の負の指数も自然につながります。
2^1=2から指数を1下げると2で割るので、
さらに1下げると、
となります。
一般にa≠0なら、
です。
これも別の暗記公式ではなく、指数法則を整数全体へ広げた結果です。
分数の指数まで広げる考え方は分数乗がルートになる理由で整理しています。
0^0は同じ話ではない
ここで注意したいのが0の0乗です。
先ほどの説明では
を使いましたが、a=0だと分母が0になり、この割り算はできません。
したがって「a^0=1だから0^0も必ず1」と、この説明だけで決めることはできません。
0^0は分野や文脈によって扱いが異なり、高校数学の通常の指数法則では安易に値を代入しない方が安全です。
重要なのは、a≠0という条件のもとで0乗を考えていることです。
なぜこの定義が便利なのか
数学では、新しい範囲へ概念を広げるとき、それまで成り立っていた法則をできるだけ保つように定義を作ります。
指数でも、正の整数だけでなく0、負の整数、さらに有理数へ広げていきます。
- 正の整数:繰り返しの掛け算
- 0:指数法則から1
- 負の整数:逆数
- 分数:根号
とつながっています。
文部科学省の高等学校学習指導要領でも、指数を拡張し、指数法則を扱うことが数学IIの内容に位置づけられています。
高校数学の記事を探している場合はとだ塾トップページから関連教材も確認できます。
確認問題
次を計算してください。
- 5^0
- (-3)^0
- 2^(-1)
- 4^(-2)
- a^5÷a^5(a≠0)
答えは、
- 1
- 1
- 1/2
- 1/16
- 1
です。
5番は指数法則ならa^(5-5)=a^0となり、同じ数で割っているので1です。この一致が0乗の意味そのものです。
まとめ
aの0乗が1になるのは、突然追加された特殊ルールではありません。
と
を両立させるため、a≠0ではa^0=1となります。
指数法則を軸に考えると、0乗・負の指数・分数指数を別々に暗記せず、一つの流れとして理解できます。
この記事は文部科学省の高等学校学習指導要領・解説を参照し、説明と例題は独自に作成しています。