『竹取物語』第3章「無理難題」は、求婚者が宝物を探しに出かける話ではありません。「誰が、どんな条件を、五人に伝えたか」が決まる場面です。第2章でかぐや姫は、五人の心の深さを知りたいと言いました。それが、どうして仏の鉢や蓬莱の枝を求める話になるのでしょうか。
五人は最初から「無理難題」に賛成していた?
日が暮れるころ、いつもの五人が集まり、笛を吹いたり歌をうたったりしています。翁はそこで、姫が「誰の心が深いか、今のままでは分からない」と考えていることを伝えます。そして、姫の欲しい物を持ってきた人の誠意を認め、その人に仕えると決める方法を話します。
この段階では、まだ五つの品の名前は伝えられていません。五人が「よきことなり」と賛成したのは、判定の方法です。そのあと翁が家の中へ戻り、かぐや姫が一人ずつ違う品を指定する。方法への賛成 → 品物の発表という順番を入れ替えないことが、最後の五人の反応を理解する鍵になります。
「誰が条件を決めるか」を絵で確かめる
この場面の翁は、姫の話を外で待つ五人に伝え、五人の返事をまた姫へ持ち帰ります。翁が五つの品を考案したわけではないし、五人が品物を自由に選べるわけでもありません。人物の位置関係を絵で見てから、次の品物一覧へ進みましょう。

※『竹取物語』第3章の場面をもとにした、生成AIによる絵巻物風イメージです。実在の絵巻・史料の画像ではありません。
五人に出された「五つの無理難題」
五人はそれぞれ別の品を求められます。長い横表にまとめず、人物 → 品物 → どこが普通でないかを一組ずつ確認してください。第3章で品物が指定され、第4章からその顛末が語られます。
なぜ普通の贈り物ではなく、こんな品物なのか
かぐや姫が出したのは、財力があれば身近な店で買える品ばかりではありません。天竺や唐土、東の海の蓬莱など、当時の物語で遠方や伝説の世界を思わせる場所が並びます。仏教や中国の説話・伝承に関わる品も含まれます。これらは、実在する史料の宝物を五つ列挙したもの、と受け取らないようにします。
五人は皇子や高官です。それでも翁は、品々を聞いて「この国にある物でもない」と困ります。高い身分の人にとっても、すぐ実行できる条件ではないことが、この場面から読み取れます。どの品が難しいかを今すぐ順位づけするより、次章以降で各人が条件にどう向き合い、何を実際に行うかを原文で確かめると、物語がつながります。
『竹取物語』の成立と仏典・漢籍との関係については、ジャパンナレッジの作品解説も参照できます。作品の中の伝説と、実際の平安時代の生活や地理とは区別して読みましょう。
五人が帰ったのは、条件に納得したから?
翁は品々を聞いて「難きことども」と戸惑い、姫は「何か難からん」と応じます。翁が条件を五人に伝えると、五人はそんなことを言うくらいなら、せめて「家の近くをうろつくな」と言ってくれればよいのにとぼやき、困って帰ります。
つまり、五人は「欲しい物を持ってきた人を選ぶ」という方法には賛成したが、実際に指定された品物には困惑した。ここで第3章は終わります。石作皇子が鉢を持ってくるのは、次の第4章です。
原文の形を3か所だけ確認する
文法も、この場面を読み解くために必要なところだけ押さえましょう。意味を暗記する前に、何にかかっているか、どんな文の形になっているかを確かめます。
本文に戻って3問だけ確認
答えを開く前に、リーダーのどの箇所が根拠かも探してください。
問1:五人は、五つの品物の内容を聞いてから「よきことなり」と賛成した?
問2:第3章の中で、石作皇子は仏の御石の鉢を手に入れた?
問3:「あたりよりだになありきそ」の「な…そ」は、どんな働きをする?
第3章で決まったのは難題の内容であって、五人の成果ではありません。第4章「石作皇子」では、皇子が「天竺へ行く」と伝えたことと、本文が実際に記す行動を分けて読んでいきます。
原文・章立ての参照:とだ塾 古典リーダー第3章「無理難題」、『竹取物語』(國民文庫版)の原文。背景の参照:ジャパンナレッジ『竹取物語』作品解説。史料画像は転載していません。