神戸大学の整数問題から、「公約数をどう見るか」を整理します。
今回のポイントは、次の恒等式です。
(n2+1) − (n+2)(n−2) = 5
この式を使って、n+2 と n2+1 の公約数が1または5に限られることを示します。計算を進めることより、「なぜ右辺が5になっているのか」を見ると、この問題の狙いが見えやすくなります。
まずはInstagramの解説動画
実際の問題を、具体例から順に動画で解説しています。
問題
自然数 n について、恒等式
(n2+1) − (n+2)(n−2) = 5
を利用して、n+2 と n2+1 の公約数は1または5に限ることを示します。
まず n=1〜5 で実験してみる
いきなり文字だけで考えにくい場合は、具体的な値を代入してみます。
| n | n+2 | n2+1 | 最大公約数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 3 | 2 | 1 |
| 2 | 4 | 5 | 1 |
| 3 | 5 | 10 | 5 |
| 4 | 6 | 17 | 1 |
| 5 | 7 | 26 | 1 |
確かに、ここでは最大公約数として1か5しか現れません。しかし、具体例をいくつ確認しても「すべての自然数 n でそうなる」ことの証明にはなりません。
公約数とは「両方を割り切る数」
例えば35と15を考えます。
- 35の約数:1、5、7、35
- 15の約数:1、3、5、15
共通している1と5が公約数で、その中で最も大きい5が最大公約数です。
また、5に注目すれば
35 = 5×7 15 = 5×3
と書けます。つまり「d が2つの数の公約数である」とは、2つの数がどちらも d の整数倍であるということです。
本題:公約数 d は5も割り切る
n+2 と n2+1 の公約数を d とします。
すると、d は n+2 を割り切ります。したがって、その整数倍である
(n+2)(n−2)
も d で割り切れます。n が自然数なら n−2 も整数なので、この部分に問題はありません。
一方、d は n2+1 の公約数でもあるので、もちろん
n2+1
も d で割り切れます。
つまり、次の恒等式の左辺にある2つの項は、どちらも d の倍数です。
(n2+1) − (n+2)(n−2) = 5
d の倍数から d の倍数を引いた数も、d の倍数です。したがって、右辺の5も d で割り切れなければなりません。
d|5
5の正の約数は1と5だけなので、
d = 1 または 5
となります。これで、n+2 と n2+1 の公約数が1または5に限られることが示せました。
この恒等式はユークリッドの互除法と同じ構造
問題の恒等式を移項すると、
n2+1 = (n+2)(n−2) + 5
となります。
これは一般に
A = BQ + R
という形です。一方の数から、もう一方の数の整数倍を引いても、共通して割れる数は変わりません。最大公約数の記号 gcd を使えば、
gcd(A,B) = gcd(B,R)
というユークリッドの互除法の基本的な考え方です。
今回なら、
gcd(n2+1, n+2) = gcd(n+2, 5)
と見ることができます。右側には5しか残っていないため、共通因数の候補も5の約数まで一気に絞られます。
この問題で見るべきポイント
この問題では、恒等式を展開できるかどうか以上に、「なぜ差を取った結果が5になっているのか」を見ることが重要です。
複雑な式同士の公約数を直接探すのではなく、一方からもう一方の整数倍を引いて、小さな数に公約数の候補を押し込む。この構造に気づくと、一気に見通しが立ちます。
ユークリッドの互除法を知っている人なら見覚えのある形ですが、公式として覚えるだけでなく、「両方を割る数なら、その差も割る」というところから理解しておくと、整数問題で使いやすくなります。