まずは「す・さす・しむ」の形に気づく――覚える量を増やさない方法
このページの最初の目標は、訳や識別を一度に完成させることではありません。文章中で助動詞の形を見た瞬間に「あ、候補にあった」と気づくこと。とだ塾では「見つける → 識別する → 文を読む」と作業を分け、まず一つ目のハードルだけを低くします。
この助動詞のラクな覚え方:「す・さす・しむ」はまとめて下二段型。「す」の「せ・せ・す・する・すれ・せよ」を下二段の枠に置き、「さす」は「させ」、「しむ」は「しめ」を起点に同じ変化を見る。語の形は違っても、活用の仕組みを三回ゼロから覚える必要はない。
テンポゲームで既知の活用型に合わせて補った形は、前に覚えた知識との対応を見えるようにする足場です。古文で実際に使われる活用形を増やすためではありません。まず形をすぐ思い出せる状態を作り、接続や文脈を使った識別は別の練習で扱います。六つの欄を完璧に埋めること自体をゴールにせず、形が浮かぶようになったら本文読解へ進みましょう。
接続と活用は三語セットで覚える
三語とも未然形接続・下二段型。主な使い分けは、前に来る動詞の活用の種類です。「す」は四段・ナ変・ラ変など、「さす」は上一段・下一段・上二段・下二段など、「しむ」は広く用いられます。個別の動詞で迷ったら、まずその動詞の活用表に戻ってください。
今日の一問を確認する
読んだ助動詞を選び、活用を反復できます。画面内で操作できないときは下の通常リンクから開いてください。
次の段階|意味と識別・読解へ
「す・さす・しむ」を見たら、機械的に「〜させる」と訳していませんか。これらには使役と尊敬の二つの働きがあり、接続だけでは意味が決まりません。「誰が、誰に、何をするか」を先に整理します。
使役なら「動作する人」が別にいる
説明用の自作例文「翁、童に文を読ませたり。」を考えます。文を読む動作を実行するのは童で、翁は童に読ませる側です。「童に」が動作する人を示し、「読ませ」の「す」は使役と捉えられます。使役では、人に命じる場合だけでなく、させておく・させてあげる文脈もあります。
尊敬なら主語自身の行動を高める
自作例文「帝、御文を読ませ給ふ。」なら、文を読むのは帝自身だと文脈で分かる場合、「お読みになる」という尊敬の解釈を検討します。ただし、「給ふ」があるだけで必ず尊敬用法と断定はできません。帝が他人に読ませた可能性もあるため、動作主と周辺の状況を確かめます。
現代語訳で「させる」と「なさる」のどちらを選ぶか迷ったら、「誰が実際に読むのか」と自問するのが第一歩です。類似の多義性は「る・らる」の四つの意味にもあります。
確認問題
- 「母、子に歌を歌はす。」歌うのは誰? 「す」はどの意味?
- 「殿、御覧ぜさす。」高位者自身が見る文脈なら「さす」はどの意味が候補?
- 「しむ」の活用「しむる」は何形?
間違い直しは人物図にする
長い文章なら「命じる人→行動する人→行為を受ける人」の三点だけ図にします。主語を確かめず訳語を選ぶ作業を減らすためです。次の一文だけ分解できれば、前後の場面理解へ戻りましょう。
よくある誤答:「給ふ」があるから尊敬
尊敬を表す語が続くのは手掛かりですが、使役動作の主語も高貴な人物でありえます。「帝、女房に文を読ませ給ふ」という自作例文なら、読むのは女房で、帝は読ませる側。これは使役を考える文脈です。主語の身分だけで判断せず、「誰が実際にその動作をする?」と本文に戻す必要があります。
資料と教材について: 助動詞の接続・活用は埼玉県立春日部東高等学校「古典文法講座 第六回」を参照。本文の短文・確認問題はとだ塾が文法説明用に作成したもので、特定の古典作品からの引用ではありません。