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英語の音読は意味ある?苦手な子ほど「簡単すぎる英文」をたくさん読む理由

英語の音読と多読の効果、苦手な中学生に簡単な英文を勧める理由を解説する記事

「英語の音読って、本当に意味あるんですか?」

意味はあると思います。ただし、音読をすれば何でも伸びるという話ではありません。

とだ塾では、英語にまだ慣れていない子や、英文を読むのに時間がかかる子には、難しい英文をじっくり読むだけでなく、簡単すぎるくらいの英文をたくさん読むことを大切にしています。

そして、その中で音読はとても有用です。

ただし、苦手な子に人前で音読を強制することはしません。

英語を「文字だけ」で勉強するのは、少しもったいない

英語は言語です。

本来は、文字だけではなく、音・リズム・意味・場面が一緒にあります。

ところが学校の勉強になると、英語が「紙に書かれた暗号」のようになりやすい。

単語帳を見て、日本語訳を覚える。文法問題を解く。長文に線を引く。

もちろん、どれも必要です。ただ、文字だけで全部を処理しようとすると、言語が本来持っている感覚を一部使わないことになります。

私はこれを、ときどき「縛りプレイみたいなもの」だと考えます。

音読には、文字と音を結びつけ、英語の語順のまま処理する練習になる良さがあります。

英語が苦手な子ほど「簡単すぎる英文」でいい

多読というと、「たくさん難しい英文を読まないといけない」と思われることがあります。

むしろ逆です。

ほとんど知っている。少し分からないところはあるけれど、そのまま読み進められる。

そのくらいでいい。

難しい英文を一文ずつ止まりながら読むと、単語を調べる、文法を考える、日本語に訳す、また戻る、という作業になりやすい。

それも精読として必要ですが、それだけでは「英文を読むことそのもの」に慣れる量が足りません。

第二言語・外国語の多読に関する2025年のメタ分析では、73研究・82の介入をまとめた結果、読解、語彙、流暢性、動機づけ、作文、口頭能力など幅広い領域で小〜中程度のプラス効果が確認されています。多読の基本原則として、学習者のレベルに合ったやさしい教材を使うことも挙げられています。

Sangers et al. (2025), Educational Psychology Review

簡単な英文には「自信をつける」という意味もある

英語が苦手な子に、毎回「読めない文章」ばかり渡していたらどうなるでしょう。

英語を見るたびに、

「また分からない」
「また遅い」
「また間違える」

という経験が積み重なります。

それより、

「これなら読める」
「前より速くなった」
「だいたい意味が分かる」

という経験を増やす方がいい。

2024年の第二言語・外国語の読解自己効力感に関する系統的レビューでも、読解に対する自己効力感は、学習者が読書活動に参加し続けるうえで重要な要素として扱われています。

System (2024): A systematic review of reading self-efficacy in second or foreign language learning

もちろん、「自信さえあれば読める」という意味ではありません。

でも、読める教材を使って成功経験を作ることは、苦手な子が英語から逃げないためにも大切だと思います。

反復読みと多読は、役割が少し違う

同じ英文を何度か読むことにも意味があります。

一度目は単語で止まる。二度目は少し滑らかになる。三度目には、意味を考えながら読める。

こういう変化が起きます。

2022年のEFL学習者を対象にした研究では、時間を測って読む、同じ英文を繰り返す、繰り返し音読する、という流暢性トレーニングはいずれも読書速度を改善しました。

Chang & Millett (2022), System

ただし、同じ文章だけを何十回も読めばいいわけではありません。

反復読みは、その英文を滑らかにする練習。

多読は、その滑らかさを別の英文へ広げる練習。

と考えると分かりやすいと思います。

「音読が有用」でも、人前で読ませる必要はない

ここは大事なところです。

英語が苦手な子にとって、人前で英文を読むのは恥ずかしいことがあります。

つっかえる。発音を間違える。周りより遅い。それを先生の目の前で全部見られる。

音読という勉強法そのものが良くても、そのやり方で英語が嫌になるなら本末転倒です。

外国語の読解不安について、日本のEFL学習者を対象にした研究でも、読解不安の一部が英語の熟達度や授業成績と負の関係を持つことが報告されています。また、子どもの音読そのものが不安を引き起こし得ることを扱った研究もあります。

Yamashita (2021), System
Wright et al. (2025), Science Robotics

だから、とだ塾では「音読はすごく使える勉強法だよ」とは伝える。でも、目の前で読めとは強制しません。

家で一人で読む。イヤホンで音源を聞いてから読む。小さい声で読む。それでもいい。

目的は「先生の前で上手に読むこと」ではなく、英語を処理する回路を少しずつ強くすることだからです。

速く読みたいなら、「難しい問題」より読む量が必要

長文を速く読みたいと言う子ほど、難しい長文問題ばかり解こうとすることがあります。

でも、英文を読む速度そのものを上げたいなら、ある程度の量は必要です。

単語を見るたびに日本語を探す。よくある語順でも毎回文法を考える。その状態では、読む速度は上がりにくい。

よく出てくる単語や表現を、何度も別の文章の中で見て、少しずつ「考えなくても分かる」に近づけていく必要があります。

前の記事で、「英単語を知っている」にも強度があると書きました。

文脈があれば思い出せる単語、単独でもすぐ意味が出る単語、音でも分かる単語。読む量が増えると、こうした検索の速さも少しずつ変わります。

兵庫県公立高校入試で、まずどの単語を優先するかについては、はば単2500と16年分の過去問を照合したCORE250の記事でも整理しています。

精読・反復・多読は、どれか一つを選ぶものではない

私は、役割を次のように分けて考えています。

  • 精読:分からない英文を、分かるようにする
  • 反復・音読:分かる英文を、より滑らかに処理できるようにする
  • 多読:その処理を、たくさんの別の英文へ広げる

英語が苦手な子ほど、難しいものに挑戦させ続ける必要はありません。

簡単すぎるくらいから始める。

読める。分かる。前より少し速い。

その状態をたくさん作る。

音読が役に立つことも知っておく。でも、恥ずかしいなら人前で無理にやらなくていい。

勉強法は、効果があるかどうかだけではなく、その子が続けられる形にできるかまで含めて考えたいと思っています。

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