三角比・三角関数では、
という関係を何度も使います。
暗記するだけなら「サイン二乗+コサイン二乗=1」で終わりますが、理由は三平方の定理そのものです。
まず鋭角の直角三角形で考える
斜辺の長さをr、角θに対する向かいの辺をy、隣の辺をxとします。
三角比の定義から、
です。
それぞれ二乗して足すと、
=\frac{y^2+x^2}{r^2}\]
となります。
三平方の定理でx²+y²=r²なので、答えは1です。
単位円にするともっと一瞬で分かる
三角関数を0°から360°、さらにそれ以上へ広げるときは単位円が便利です。
半径1の円上に角θに対応する点Pを取ると、その座標は
です。
半径1の円の方程式は
なので、x=cosθ、y=sinθを代入すれば、
がそのまま出ます。
つまりこの公式は、単位円上の点は中心からの距離が必ず1であるという事実を式にしたものです。
なぜ角が変わっても1のままなのか
θを変えると点Pは円周上を動きます。cosθとsinθの値は変わりますが、点Pと原点との距離はいつでも半径1です。
x成分が大きくなればy成分が小さくなり、逆も起こります。その二乗和だけは一定です。
この「成分は変わるが長さは変わらない」という見方は、ベクトルや回転を学ぶとさらに重要になります。
半径が1でなければどうなる?
半径rの円で同じことを考えると、円周上の点を
と表せます。円の方程式は
なので、代入すると
です。rが0でなければ両辺をr²で割って、やはり
が残ります。
つまり「1」は偶然ではなく、斜辺または半径で割って比にしたことで長さの情報が消え、方向だけが残った結果です。三角比が三角形の大きさに依存せず、角だけで決まる理由ともつながっています。
公式変形も意味が見える
基本関係から、
や
を作れます。
たとえばcosθ=3/5でθが鋭角なら、
なのでsinθ=4/5です。
これは結局、3-4-5の直角三角形で三平方を使っているのと同じ構造です。
符号は別に考える必要がある
sin²やcos²からsin、cosへ戻すときは±に注意します。
たとえばsin²θ=1/4なら、sinθは必ず1/2とは限らず、角の範囲によって-1/2の可能性もあります。
二乗和の公式は値の大きさを教えてくれますが、符号は単位円の象限から判断します。
公式を使う問題では「一つ分かればもう一つ」
この関係式の実戦的な役割は、sinかcosの一方が分かっているとき、もう一方の大きさを求められることです。
ただし、二乗した値から戻すときは角の範囲が必要です。第1象限ならsinもcosも正ですが、第2象限ではsinが正、cosが負になります。したがって、計算は
- 二乗和から絶対値を求める
- 象限から符号を決める
の二段階で処理すると安全です。
この手順を持っておくと、三角方程式や加法定理の途中計算でも符号ミスを減らせます。
加法定理にもつながる
三角関数を座標や回転として見ると、加法定理も単なる暗記公式ではなくなります。三角関数の加法定理はなぜ成り立つのかでは、角を足すことを座標の回転として整理しています。
指数分野の「なぜ」を確認したい場合は対数の底が1ではだめな理由も参考になります。
確認問題
- cosθ=5/13、θは鋭角。sinθを求める。
- sinθ=-3/5、θは第4象限。cosθを求める。
- sin²θ=0.36のときcos²θを求める。
答えは、
- 12/13
- 4/5
- 0.64
です。
2番では第4象限なのでcosは正です。
まとめ
sin²θ+cos²θ=1は特別な三角関数だけの公式ではありません。
直角三角形なら三平方の定理、単位円ならx²+y²=1を、sinとcosで書き換えたものです。
sinとcosを単位円上の点の座標と見ると、なぜどの角でも成り立つのかが一つの図で理解できます。
この記事は文部科学省の高等学校学習指導要領・教科書関連資料で学習範囲を確認し、説明と問題は独自に作成しています。