「何回やっても覚えられない」の原因は、記憶力ではなく“残し方”かもしれません
「学校ワークを3周したのに、テストになると解けない」
「解説を読んだときは分かったのに、次の日にはまた分からない」
こういう悩みは、記憶力だけの問題ではないかもしれません。
塾で見ていると、こういう悩みはかなり多いです。
ただ、これは必ずしも「記憶力が悪い」から起きているわけではありません。
むしろ多いのは、“覚えたつもり”で終わってしまっているケースです。
「見たことある」で止まってしまう
勉強が苦手な子ほど、復習が「見る」「読む」「写す」で終わりがちです。
- 英単語を何回も書く
- 解説を読む
- 赤シートで隠す
- 学校ワークの答えを見直す
もちろん、これらが全部ダメというわけではありません。
ただ、それだけだと頭の中には「見たことがある」という感覚だけが残りやすくなります。
テストで必要なのは、「見たことがある」ではなく、自分で思い出して使えることです。
ここまで行かないと、次の日にまたゼロに戻ったように見えてしまいます。
答えを見たら分かる。
解説を読んだ瞬間は分かる。
でも、自力では出てこない。
これは勉強していないわけではありません。
ただ、まだ「使える記憶」になっていない状態です。
脳は「使った情報」を残しやすい
記憶についての研究では、情報はただ見るだけよりも、思い出したり、使ったりすることで残りやすいと考えられています。
つまり大事なのは、長時間読むことだけではありません。
- 一度閉じて思い出す
- 別の問題で使う
- 自分の言葉で説明する
- 翌日にもう一度引き出す
こうした「引き出す練習」が必要になります。
ただし、ここで注意が必要です。
勉強が苦手な子にいきなり「説明してみて」「思い出してみて」と言っても、止まってしまうことがあります。
「思い出す」が難しい子もいる
大人から見ると、「昨日やったんだから思い出せるはず」と感じるかもしれません。
でも実際には、次のような状態の子もいます。
- 何を思い出せばいいか分からない
- どこを見ればいいか分からない
- 最初の一歩が出てこない
- 白紙のまま固まってしまう
この状態で「もっと頑張れ」「ちゃんと覚えなさい」と言っても、なかなか変わりません。
必要なのは、やる気を出させることよりも、できるところまで下げることです。
とだ塾で意識していること
とだ塾では、勉強が苦手な子ほど、いきなり大きな課題を出さないようにしています。
例えば英語なら、最初から「全部覚えよう」「全文を訳そう」とはしません。
- まず1文だけ読む
- まず動詞だけ探す
- まず並び替えだけ解く
- 昨日やった単語を3秒だけ思い出す
- 全文ではなく、意味のかたまりで確認する
このように、かなり小さく分けます。
「自分の言葉で説明する」「別の場面で使う」「人に話す」という学習法は、たしかに大事です。
でも、勉強が苦手な子にとっては、その前の段階で止まっていることもあります。
だからまずは、1行だけ説明する、1問だけ似た問題を解く、3秒だけ思い出すくらいまで下げます。
数学でも同じです
数学でも、いきなり「全部解こう」とすると止まる子がいます。
その場合は、問題を解く前に見る場所を絞ります。
- まず条件に線を引く
- まず使う公式を1つ選ぶ
- まず最初の1行だけ書く
- 前に解いた似た問題を1問だけ見る
- どこで止まったかを確認する
例えば、二次関数の頂点の公式を何回も読むだけでは、なかなか使えるようになりません。
それよりも、次の日に1回思い出す。グラフを書いてみる。別の問題で使ってみる。
このように、少しずつ「使う場面」を作った方が、記憶は残りやすくなります。
「解説を読んだら分かるけど、自分では1行目が書けない」
こういう場合、理解していないというより、最初に見る場所が決まっていないことがあります。
だから、まず条件に線を引く。使う公式を1つ選ぶ。最初の式だけ書く。
そこまで下げて練習することがあります。
補助輪をつけて、少しずつ自力に近づける
「思い出す練習」が大事とはいっても、最初から完全に自力でできる必要はありません。
とだ塾では、必要に応じて、補助輪をつけます。
- 選択肢を出す
- 最初の一文字だけ見せる
- 3択にする
- 前のページだけ見せる
- 似た問題を横に置く
これは甘やかしではありません。
いきなり何もない状態で思い出せない子に対して、少しだけ手がかりを出し、頭の中から引き出す経験を積ませるためです。
補助輪つきでも、自分で思い出そうとする回数が増えれば、少しずつ記憶は使える形に近づいていきます。
「読むだけの復習」から「引き出す復習」へ
家庭学習でも、少し工夫するだけで復習の質は変わります。
例えば、英単語を覚えるときに、ずっと単語帳を見るだけで終わらせない。
一度閉じて、次のような確認を入れます。
- 今見た単語を1つ思い出す
- 意味を声に出す
- 例文の中で使ってみる
- 翌日にもう一度だけ確認する
数学でも、解説を読んだあとにすぐ次へ行くのではなく、
- 最初の式だけ隠して書いてみる
- なぜその公式を使うのか言ってみる
- 似た問題を1問だけ解く
こうした確認を入れるだけでも、読みっぱなしより残りやすくなります。
短くてもいいので、「見た」ではなく「思い出した」という時間を作ることです。
AIや要約も、使い方を間違えると“分かった気”で終わる
最近はAIで要約したり、解説を読んだりすることも簡単になりました。
もちろん、AIは便利です。
ただ、要約を読むだけで終わると、「分かった気」になってしまうことがあります。
大事なのは、要約を読んだあとに、
- 何が大事だったか思い出す
- 自分の問題に置き換える
- 似た問題で使ってみる
AIは、勉強を代わりにしてくれるものではありません。
ただ、復習の手がかりを作ったり、問題を小さく分けたりする補助には使えます。
やる気より、仕組み
勉強でつまずいている子に対して、「やる気がない」と見えてしまうことがあります。
でも実際には、やる気以前に、次のような状態になっていることも多いです。
- 何をすればいいか分からない
- 課題が大きすぎる
- どこで間違えたか分からない
- 思い出す練習のやり方を知らない
だからこそ、とだ塾では「気合いで頑張る」よりも、見る場所を絞ること、やることを小さくすること、思い出す回数を増やすことを大切にしています。
できるところまで下げるのは、恥ずかしいことではありません。
むしろ、そこまで下げて初めて、自分で動ける子もいます。
見る場所を絞る。
思い出す仕組みにする。
これが、とだ塾で大切にしている考え方です。
まとめ
「何回やっても覚えられない」とき、必要なのは勉強量をただ増やすことだけではありません。
大事なのは、次のようなことです。
- 見て終わらせないこと
- 思い出す回数を作ること
- 使える形まで小さく分けること
- 必要なら補助輪をつけること
とだ塾では、勉強が苦手な子に対して、やる気だけに頼らず、できるところまで下げながら学習を整理しています。
「ワークを何周しても点数につながらない」
「読んだときは分かるのに、テストで出てこない」
「何から復習すればいいか分からない」
そんな場合は、勉強の量より先に、勉強の残し方を見直す必要があるかもしれません。
板宿・須磨周辺で、勉強方法から一緒に整理したい方は、お気軽にご相談ください。


