方程式を習うと、「反対側に移項すると符号が変わる」と教わります。
例えば、
なら、
と変形します。
でも、なぜ左辺の \(+3\) が右辺へ行くと \(-3\) になるのでしょうか。実は、数字を反対側へ移動させる特別な操作があるわけではありません。移項は、方程式の基本操作を省略して書いているだけです。
まずは「両辺に同じ操作」をする
方程式では、等号の左右が等しい状態を保ちながら式を変形します。
\(x+3=7\) から \(x\) だけを残したければ、左辺の \(+3\) を消したい。そこで、両辺から3を引きます。
すると、
となります。
右辺に突然 \(-3\) が出てきたのではありません。両辺から3を引いた結果、左側では \(+3-3=0\) になり、右側に \(-3\) が残っただけです。
「符号を変えて移す」は省略形
最初から「移項したら符号を変える」と覚えても、計算自体はできます。
ただ、最初の段階では、
のように、両辺に同じ操作をすることを一度きちんと経験した方がいいと思います。
何度も計算していると、そのうち毎回同じ操作を書くのが面倒になります。そこで途中を省略して、
と処理するようになる。
これは別のルールを追加で覚えたというより、もともとの操作を精緻化し、高速化した状態です。最終的には「+3を右へ移したから-3」と当たり前に処理できれば問題ありません。ただ、その省略の下にある操作は理解しておきたいところです。
移項でミスが多い人は、一気に操作しすぎていることがある
例えば、
を考えます。
慣れていれば、
とすぐに変形できます。
一方、計算ミスが多い人ほど、「\(2x\)を左へ」「\(-5\)を右へ」「それぞれ符号を変える」「次の計算もする」と、複数の処理を一度に頭の中で進めようとすることがあります。
すると、符号を変え忘れたり、等号の左右が途中で混ざったりします。これは移項を知らないというより、一度に処理する量を自分で増やしすぎている場合があります。
途中式を書く方が速いこともある
計算が不安定なら、一度に全部動かす必要はありません。
のように、一つずつ操作してもいい。
途中式を減らすことと、速く解くことは同じではありません。途中を飛ばして間違え、最初からやり直すなら、最初から一段ずつ書く方が結果的には速いです。
大切なのは、自分がどれくらいの操作なら安定して処理できるかを把握することです。慣れてきたら、少しずつ省略すればいい。
意味を理解したら、当たり前になるまで使う
移項をするたびに「これは両辺から3を引いているから……」と考え続ける必要はありません。
最初に意味を理解したら、その後は何度も使って、考えなくても処理できる状態まで持っていきます。
数学では、意味を理解することと速く正確に処理できることの両方が必要です。
最初から省略形だけを覚えるのではなく、まず基本操作を理解する。そのあと、繰り返す中で不要な部分を省略していく。移項は、その典型的な例です。
計算ミスが多いときは、速さより操作量を見直す
とだ塾では、途中式を多く書くか少なく書くかを一律には決めません。自分が安定して処理できる量を見ながら、まずは正確にできる形を作り、慣れてから省略していきます。
まとめ
- 移項は、数字を反対側へ動かす特別な操作ではない
- 両辺に同じ操作をした結果、符号が変わって見える
- 「符号を変えて移す」は、その操作を省略した形
- 計算ミスが多いときは、一度に処理する量を減らす
- 意味を理解したら、繰り返して自然に使えるところまで持っていく
神戸市須磨区・板宿のとだ塾
「ルールは覚えたけれど計算が安定しない」「どこでミスしているか分からない」という場合は、途中式や処理の仕方まで見ながら必要なところを整理します。